歴史に残る名演「A Black & White Night Live」(3)

Roy Orbisonトリビュート
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ロイ・オービソンのビートルズとの浅からぬ縁

50年代半ばプレスリーとほぼ同時期に活動を始めたロイ・オービソンは大ヒットには恵まれないものの地道な活動を続けていた。

60年に「オンリー・ザ・ロンリー」でブレイク以降大スターの地位を獲得していたロイ・オービソンが、62年欧州64年米国と大旋風を巻き起こしたザ・ビートルズと浅からぬ縁で結びついていた。

ビートルズが米国上陸する直前の1963年、ロイ・オービソンとビートルズは英国ツアーで共演している。共演とはいえ既に欧州ではブレイクしていたビートルズに対して、ロイ・オービソンも多くのヒット曲を持つ大スターとなっていたが、この英国ツアーではロイ・オービソンが兄貴分でありながら前座を務めたようである。




後年ロイはこのツアーのことを楽しそうに回想している。先輩後輩とか前座とかには全くこだわりのないロイの人柄を示すエピソードとして語り継がれている。

こうしてお互いの音楽性や人柄を知り合ったことが、後年のトラベリング・ウィルベリーズ結成の伏線となったことは容易に想像できる。またビートルズの名曲「プリーズ・プリーズ・ミー」にヒントを与えたことは既に述べた。

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豪華絢爛のバックコーラス


この写真の3人組女声コーラスがこの夜のライブ全編で活躍している。自分自身の無知を告白するが、動画を初めて見た時からずっとこの文章をまとめるための調査にとりかかるまで1年以上、この3人は無名のコーラス専門ユニットだと思っていた。

オリジナルCDと聞き比べるとコーラスは前面に出て音楽全体に占めるウェイトは高くなっているし、こんなに上手いコーラスがいたことに驚きと強い印象を受けた。一方で歌いながらのアクションなどは3人がバラバラで統一性が無いなぁという印象もあった。

そうしたらなんとこの3人はそれぞれ全米にその名を知らない人はいない程のアーティストだった。

詳細は連載の(1)に譲るが、これほどの贅沢なバックコーラスを従えての演奏など古今東西数多のライブがあれども、他には見たことも聞いたことも無い。余興やお遊び程度に(特に最近の雑な作りのTV番組によくある)面白半分の軽いノリで1~2曲演奏するのとは訳が違う。

音楽がわかってる人なら理解できるはずだが、この夜のライブの音楽全体の完成度は半端じゃない。さずがに当代一流の実力の持ち主揃いだけに、強烈なそれぞれの個性がぶつかり合って不協和音を出すことなく、各自がリスペクトするロイ・オービソンという一点にのみ集中することによって見事なハーモニーを構成することに成功している。

この3人の美女コーラスに比べると地味だが男声コーラスも、この夜のライブ以外では考えられない超一流アーティスト揃いである。それなのに目立たないバックコーラスの役割をしっかりと務めてこのライブを支えている姿は感動的ですらある。

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第2曲 ドリーム・ベイビー(Dream Baby(How Long Must I Dream))

1962年全米4位全英2位の大ヒット曲。邦題は「夢みる乙女」のようだが今では殆ど使われなくなっている。

1955年レコードデビューしたものの鳴かず飛ばずだったロイ・オービソンがこの曲の大ヒットにより一躍スターの仲間入りを果たした。

ライブ第2曲 Dream Baby(How Long Must I Dream)

この曲ではその後の展開を予言するかのような、ジェリージェフの決定的なベース音により曲が始まっている。

ここでもリズム・キープに徹していたロニー・タットがやはり暴れん坊ぶりを発揮するのが3分5秒のブレイク後からラストまでのドラミング。また途中でロニー・タットのバスドラとジェリー・ジェフのベース音が融合してベース・ラインが上下するところは見事である。

ギターでの参加が多いため目立たないがジェイムス・バートンのテレキャス・ギターが燻し銀のプレイに徹している。そしてここでもグレンがバッキング・リズムをピアノで小気味よく刻んでいる。

ギターと並んで豪華絢爛なコーラス陣もこの夜全体で大活躍なのだが、この曲において特に目立ったのはジェニファー・ウォーンズが舞台右上壇上の女性コーラス3人の中央で大きなアクションでノリノリに歌っている様子である。

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58秒のところでロイ・オービソンのアイ・コンタクトに促されてブルース・スプリングスティーンが中央マイクに歩み寄ってロイ・オービソンと楽しそうにハモったり、ギターを弾きあったりしている。

3:02からのブレイクがあって、3:05でスプリングスティーンの掛け声がかかり再開して盛り上がるところなど彼のかっこよさが目立つ。

この他にもアップになったボランティア参加アーティスト全員の表情が少年少女時代に戻ったかのように弾ける笑顔で溢れていることが実に印象的である。この事実に感動すら覚える人が多いのではなかろうか。

もう既に大スターとして名を成した人達が、子供の頃からの憧れの大アーティストと共演する、っていうのはこんなにも嬉しいものなのかとその純粋さに改めて心を打たれる。

1962年オリジナル

1965年Monument Concert

ノリそうでノリきれない客席とのチグハグさが面白い。直立不動スタイルはこの頃から。

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