はじめに
「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」は、ボーカリストのゲイリー・ブルッカーと詩人のキース・リードを中心に結成されたブリティッシュ・ロック・バンド、プロコル・ハルム(Procol Harum)のデビュー曲であるとともに、彼らの最大のヒット・ナンバーとなった作品である。
作曲はボーカルでもあるゲイリー・ブルッカー。
1967年4月にシングル・リリースされた「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」は、その3ヶ月後に全英チャートの第1位 へ到達、全米チャートにおいても第5位へランクインするヒットとなる。
加えて、ヨーロッパ、アジアの音楽マーケットにおいてもヒットを記録するなど、世界的な規模で好調なセールスを記録する大ヒット・ナンバーとなった。
原題は「A Whiter Shade Of Pale」、邦題「青い影」
タイトルの意味・解釈
邦題「青い影」は誤訳に近いものでShadeは影ではなく色調を意味するらしい。
バンド名のプロコル・ハルム(Procol Harum)はラテン語で「Beyond These Things」という意味でプロデューサーの飼い猫の名をもじったものと言われている。
また、「青い影」は、映画、TVドラマ、TVコマーシャルなどのBGMとして繰り返し使用され、曲名は知らなくてもその旋律を知らぬ 者がいないほどのポピュラリティを獲得しているほか、キース・リードの象徴性に満ちた歌詞が絵画等の美術作品のモチーフとして採用されるなど、ロック・クラシックとしての領域を越えた高い人気と評価を得ている。
バッハにインスパイアされたという厳かな曲調とは裏腹な歌詞の内容
曲は、作曲者のゲイリー・ブルッカーがヒントを得たと言われるヨハン・セバスチャン・バッハのカンタータ第114番からの主題に基づくオルガン演奏によって開始される。
直後にゲイリー・ブルッカーのボーカル・パートがスタートしてオリジナルの旋律へ引き継がれるが、この部分においてもバッハ特有の下降ラインがベース・プレイによって描き続けられ、この曲が一貫してバッハのテーマに組み入れられたままで展開していくことを明らかにしている。
繰り返されるベース・ラインとドラムスのトラックに象徴されるように、この曲の全体の構造はイントロに登場するバッハの主題によって統合される。
しかも、その統合を裏付けるはずのベースとドラムスが刻むリズムは、伝統的なクラシック音楽よりも、むしろリズム&ブルースに特有のディープなうねりに近いものであり、このリズム・トラックにオルガン・プレイを加えて生み出されるクラシカルな旋律の流れとブルース・ロックを特徴づける深いリズムの融合こそが、この曲を印象深く、また、忘れ難いものにしている最大の要因と言える。
「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」は、異なる音楽ジャンルの内側へ深く踏み込みながらも、同時に、自らのオリジナリティを高いレベルで保つことによってロックの表現形式に新たな可能性をもたらすものとなった。
その意味で「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」は、ロック史上に残るヒット・ナンバーであるとともに、クラシックのフル・オーケストラとの競演を試みたムーディー・ブルースや、フルートを中心にジャズの要素を大胆に取り入れたジェスロ・タルらの同時代のロック・バンドに強い影響を及ぼした楽曲の一つとしても評価されるべきものであろう。
この歌は旋律と詞の落差が非常に大きい。
聞いた感じはバロック調で厳かというか宗教的だが、その詞は客船で船旅をしている酔っ払ったカップルがテーマらしい。
R&B的要素とクラシック的要素を融合させた独特の音作りは、70年代のプログレッシブ・ロックの先駆をなしたと評されている。
歌詞を理解するためのキーワード
この歌詞は意味不明として有名らしいが意欲的に訳を試みたサイトを参考に理解するうえでのキーワードを2つあげておく。
the miller(粉屋)・・・ドラッグの売人のこと
My mouth by then like cardboard(ボール紙のようなボクの口) ・・・ドラッグによる強烈な脱水症状のこと
映画にも使われることが多く、「再会の時」「奇跡の海」「ザ・コミットメンツ」「ニューヨーク・ストーリーズ」などの他日本のTVドラマ「青春の門・筑豊編」のエンディングでSarah Brightmanが歌っていた。
またユーミンが荒井由実時代に最も影響を受けたアーティストとしてプロコル・ハルムの名を挙げていたようである。
プロコルハルムの「青い影」
Procol Harum
1968年ライブ
ユニオン・チャペルでのライブ
2006年デンマーク野外ライブ
カバーセレクション
Sarah Brightman
日本のTVドラマ「青春の門・筑豊編」のエンディングで使われた
Annie Lennox(アニー・レノックス)
アニー・レノックスのバージョンは、オリジナル・バージョンのオルガン・パートをピアノの旋律に置き換えることで、バッハの主題部分の後半における分散和音的なフレーズの美しさを際立たせ(オリジナルではオルガンの二重奏となるため分散和音的なフレーズはそれほど目立たない)、プロコル・ハルムの原曲以上にバロック音楽のムードを高めることに成功している。
Raymond Lefevre(レイモン・ルフェーブル)
Joe Cocker(ジョー・コッカー)
Paul Potts(日本のTVで読響との競演)
Gary Brooker & Friends
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<歌詞>
We skipped the light fandango
turned cartwheels ‘cross the floor
I was feeling kinda seasick
but the crowd called out for more
The room was humming harder
as the ceiling flew away
When we called out for another drink
the waiter brought a tray
And so it was that later
as the miller told his tale
that her face, at first just ghostly,
turned a whiter shade of pale
She said, ‘There is no reason
and the truth is plain to see.’
But I wandered through my playing cards
and would not let her be
one of sixteen vestal virgins
who were leaving for the coast
and although my eyes were open
they might have just as well’ve been closed
And so it was that later
as the miller told his tale
that her face, at first just ghostly,
turned a whiter shade of pale
She said, ‘I’m home on shore leave,’
though in truth we were at sea
so I took her by the looking glass
and forced her to agree
saying, ‘You must be the mermaid
who took Neptune for a ride.’
But she smiled at me so sadly
that my anger straightway died
If music be the food of love
then laughter is its queen
and likewise if behind is in front
then dirt in truth is clean
My mouth by then like cardboard
seemed to slip straight through my head
So we crash-dived straightway quickly
and attacked the ocean bed
<和訳例>GLAD EYE
軽いファンダンゴでスキップしたら
フロアの向こうへカートを押し出してしまった
ちょっと船酔いしたみたいだ
でも群衆はもっとやれと言っている
天井が飛び去って
部屋はより激しくざわついていた
大声でもう一杯頼んだら
ウエイターがトレイを持ってきた
随分遅くなった
粉屋が延々と打ち明け話をするにつれて
彼女の顔色が(最初は幽霊みたいだった)
だんだん白くなって来た
青白い陰
彼女は言った「理由なんて無いわ、
“真実”は明白よ」
だが僕はトランプをしながらぶらついた
彼女を海岸に向けて発っていった16人のヴェスタの処女の一人の
ようにさせるわけにはいかない
目は開いているのに
半分寝ているみたいな感じがしていた
随分遅くなった
粉屋が延々と打ち明け話をするにつれて
彼女の顔色が(最初は幽霊みたいだった)
だんだん白くなって来た
青白い陰
彼女は言った「上陸許可(陸上での休憩時間)のときはあたしが家にいるよ」
“真実”は海の上なのに
だから彼女を鏡のところまで連れて行って
判らせようとした
「君はネプチューンに乗った
人魚なんだぞ」と言いながら
でも彼女は悲しげに僕に微笑んだ
だから僕の怒りは失せてしまった
もし音楽が愛の糧ならば
微笑みはその女王だ
同じようにもし後ろが前であれば
汚れも実は綺麗なものなのだ
その時までのボール紙のような僕の口は
まっすぐ僕の頭を滑り抜けるように思えた
それで僕らは直ちに急速潜航して
海底を攻撃した
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