【オリジナル&カバー曲】恋のダウンタウン|ペトゥラ・クラーク

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はじめに

 1964年11月に英米でリリースされたイギリスの女性歌手兼女優ペトゥラ・クラーク(Petula Clark)の世界的大ヒットで全米1位、全英2位。

 グラミー賞ベスト・ロックンロール・レコード部門まで獲得したこの曲を出した時には32歳だったという遅咲きであった。

 原題は「Down Town」、邦題「恋のダウンタウン」

 作詞作曲はトニー・ハッチ(Tony Hatch)。米国ビルボード年間ランク1965年第6位。

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英語盤だけでなく仏独伊盤も快進撃

 「ビルボード」誌ベスト100では64年12月19日に初登場87位、それが41→12→5→4位と破竹の勢い、ついに1965年1月23日と30日の二週にわたって全米第一位を手中に収めた。

 65年にはヨーロッパでも彼女が歌い分けたフランス語盤(”Dans le temps”)、イタリア語盤(”Ciao ciao”)、ドイツ語盤(”Geh in die Stadt — Downtown”)もそれぞれベストセラーを記録した。

 なおフランス語に翻案した「Dans le temps」は、英語版オリジナルと内容の全く違う過去を懐かしむ暗い内容の歌詞の曲となっている。

フランス語盤ジャケット

 日本でも大ヒットして四六時中町中にこの曲があふれていたような記憶がある。音楽的な知見が殆ど無い少年であったが、英語の発音が明瞭であることや若いアイドルにはないしっかりした音楽性のバックグランドを感じ取った。

 わが国でも1965年3月にテイチク・レコードから邦題「恋のダウンタウン」としたシングル盤が発売され(US-105)、垢抜けないジャケット・デザインにもかかわらず、目覚ましいヒットを記録した。ラジオのベストテン番組でも連日のようにこの曲がかかり、少年時代の自分をトランジスタ・ラジオに釘付けにした。

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ペトゥラ・クラーク(Petula Clark)の動画

オリジナル

ミュージックビデオ

曲の成り立ちとペトゥラ・クラークのプロフィール

 名曲・恋のダウンタウン(Downtown)の成立した背景事情と英国の子役スターから世界的人気歌手・女優ペトゥラ・クラーク(Petula Clark)へと昇り詰め、今なお現役で活動を続けている事情を詳細に別記事でまとめている。

ペトゥラ・クラーク(Petula Clark)のオリジナル

スタジオ録音盤

 日本でのヒット当時流れていたのはこの音源

ディーン・マーティン・ショー出演時(1967)の映像

2010年の映像

88年ディスコ風リメイク版

リメイク版?

フランス語バージョン「Dans le temps」

 フランス語版もペトゥラ・クラーク(Petula Clark)自身が歌っている。タイトルは Dans le temps

 オリジナルはよくある恋の嘆き節にすぎないが、フランスのベテラン作詞家ジャック・プランテがぶつけてきたのは、「眠れる夜を過ごす孤独な魂の彷徨」だった。

 インパクトのある明るくキャッチーなメロディと、夜明けの光を見いだせずに苦しむ暗く乾いたリアルな情景。

 この対極的なふたつをひとつにしてどう表現するか−ぺトゥラの歌手魂がかき立てられたに違いない。

 まず、downtown のところを dans le temps (かつては)という、同じ響きの音の言葉を持ってきて、そこから歌詞を考えたからと思われる。

ドイツ語バージョン「Geh in die Stadt」

イタリア語バージョン「Ciao Ciao」

映画「17歳のカルテ」で使われた

 1999年のアメリカ映画である。2000年に日本公開された。原作は1994年に出版されたスザンナ・ケイセンによる自伝。日本語訳は『思春期病棟の少女たち』(吉田利子訳/草思社/1994)。

 この「17歳のカルテ」は、60年代のポップスが、ふんだんに使われている。

 これは、この映画の舞台が60年代ということで、1曲とオリジナル・スコアを除き、全て60年代を代表する曲で構成されている。

「17歳のカルテ」オリジナル・サウンドトラック

 「17歳のカルテ」の劇中、流れてくる音楽は重要な役割を果たしている。

 特に、少女たちが病院の廊下で歌を口ずさむシーン。これは、 ”ペトゥラ・クラーク(Petula Clark)” のヒット曲 「恋のダウンタウン」 という曲だが、最初は小声でスザンナが口ずさみ、徐々に少女たちが歌い出すという、痛々しいストーリーの中でも、ほっとするシーンである。

映画「プラハ!」(2001年)で使われた

 この映画については下記リンクの「永遠のアイドルとガールズポップ愛好館」に詳しい。

Zuzana Norisova(チェコ語)

カバーセレクション

 1990年代に活躍し、その後一時再結成もしたスパイス・ガールズ (Spice Girls)

 そのメンバーの一人だったエマ・バントン(Emma Lee Bunton)が2006年にカバーしたバージョンが英国チャートで3位を記録した。

 アレンジも歌い方もオリジナルとほぼ同じ。

Emma Bunton(エマ・バントン)

Dolly Parton

 1983年、カントリーシンガー、ドリー・パートンがカバー

Holly Cole

 カナダのジャズ・シンガー、ホリー・コール(Holly Cole)のジャズバージョン

Frank Sinatra & Nancy Sinatra(1966)

Marianne Faithfull(ItalyのTV)

The Lettermen

Silvia Decker(Deutch)

Patty Duke (1965)

The Saw Doctors feat. Petula Clark (Official Video)

日本のカバー

 当時の日本でも大ヒットして連日ラジオからメロディが流れていた記憶があるので、必ず日本語訳詞版のカバーがあったはずと思う。

 早見優のカバーはかなり時間経過してのリバイバル作品と思われるが、これもすぐに削除されて今は見られない。

 平山三紀のものは同名異曲であったので省略。

 従って日本におけるこの曲の痕跡は発見できなかったものの、ナツメロ感覚でCMに使われている動画があったので、それを紹介する。

カルピスのCM

朱里エイコ 恋のダウンタウン 1967

隠れた名曲発見

 書いているうちについ熱が入って長くなってしまった。ここまで付き合って読んで頂いた方々への感謝として、この作業中に今まで知らなかった曲を発見したので紹介する。

 ペトゥラにしては珍しくスローバラードのラブソングである。

 曲風としてはダスティが得意とするゆったり歌い上げているジャンルのもの。

 ペトゥラとしては珍しいがなかなか良い味である。これからも長く聞き続けたい曲の一つに加わった。

Petula Clark – If ever you’re lonely

 そしてこの曲のオリジナルはSergio Endrigo(セルジオ・エンドリゴ)。

 カンツォーネ界のシンガー・ソングライターが自分で歌ってヒットさせた曲である。

 1969年のサンレモで2位となり、日本でもヒットしたらしいのだが記憶にない。題名は「Lontano dagli occhi」(英題「Away from the eyes」)

Lontano dagli occhi – Sergio Endrigo

 このカバーも素晴らしい

Gianna Nannini

<歌詞>英語

When you’re alone and life is making you lonely
You can always go downtown
When you’ve got worries, all the noise and the hurry
Seems to help, I know, downtown

Just listen to the music of the traffic in the city
Linger on the sidewalk where the neon signs are pretty
How can you lose?
The lights are much brighter there
You can forget all your troubles, forget all your cares

So go downtown
Things will be great when you’re downtown
No finer place for sure, downtown
Everything’s waiting for you

Don’t hang around and let your problems surround you
There are movie shows downtown
Maybe you know some little places to go to
Where they never close downtown

Just listen to the rhythm of a gentle bossa nova
You’ll be dancing with ‘em too before the night is over
Happy again
The lights are much brighter there
You can forget all your troubles, forget all your cares

So go downtown
Where all the lights are bright, downtown
Waiting for you tonight, downtown
You’re gonna be alright now, downtown

Downtown
Downtown

And you may find somebody kind to help and understand you
Someone who is just like you and needs a gentle hand to
Guide them along
So maybe I’ll see you there
We can forget all our troubles, forget all our cares

So go downtown
Things will be great when you’re downtown
Don’t wait a minute more, downtown
Everything is waiting for you, downtown

Downtown (downtown)
Downtown (downtown)
Downtown (downtown)
Downtown (downtown)

<歌詞>フランス語

Il n’y a plus, dans cette ville, la joie
Qu’il y avait avant, dans le temps.
Je suis perdue dans cette ville sans toi
Toi qui m’aimais, pourtant, dans le temps.
Je m’en vais seule, au long des rues, retrouver le passé
D’un amour qui n’existe plus, mais qui a commencé dans cette ville.

J’ai beau chercher, mais plus rien, j’ai beau chercher dans les rues
Mais pourtant, c’est en vain, tu sais…
Dans le temps, quand on s’aimait, oh oui

Dans le temps, je m’en souviens, oh oui
Dans le temps qui a passé depuis, dans le temps, dans le temps.

Dans ce quartier où l’on ne vit que la nuit
Il y a, comme avant, dans le temps
Autant de vie, de lumière et de bruit.
On y venait souvent, dans le temps
Au club où l’on allait danser, j’ai traîné mon ennui.
Quand le barman m’a vue entrer toute seule
Il a compris ma grande peine.

Il n’a rien dit, mais je sais qu’il a compris
Il a mis l’air que l’on fredonnait, tu sais
Dans le temps, quand on s’aimait, oh oui
Dans le temps, tu t’en souviens, oh oui
Dans le temps qui a passé depuis, dans le temps, dans le temps.

Dans cette ville, rien n’a changé, si tu reviens un jour
Avec au cœur, quelques regrets, rêvant de notre amour dans cette ville.
Rien n’a changé, mais pourtant, tu vas marcher dans les rues
Mais rien n’est comme avant, tu sais…

Dans le temps, quand on s’aimait, oh oui
Dans le temps, tu t’en souviens, oh oui
Dans le temps qui a passé depuis, dans le temps, dans le temps.

ペトゥラ・クラーク(Petula Clark)のプロフィールは別記事に詳しい

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