【死刑囚が見ていた夢の話】思い出のグリーングラス|トムジョーンズ

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名曲誕生

 テネシー州ナッシュビルをベースに活動していたカーリー・プットマン・ジュニア(Curly Putman Jr.)が65年に発表した名曲。

 原題は「Green,Green Grass of Home」、邦題は「思い出のグリーングラス」

 すぐにジャニー・ダレルやポーター・ワゴナーがカバーして全米に広がる。

 翌66年にカバーしたトム・ジョーンズ(Tom Jones)のシングル盤は全英7週連続1位、全米11位のヒットとなった。

 また仏語により翻案した歌詞をつけてダリダもカバーしている。

 この他、エルビス・プレスリー、ジョーン・バエズ等のそうそうたるメンバーがカバーしている。

 わが国では森山良子、尾崎紀世彦等がカバーした。

米国盤ジャケット

日本発売盤ジャケット

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歌詞の内容は衝撃!「死刑囚が見ていた夢の話」

 筆者はこの曲を森山良子で知り、その後トム・ジョーンズ盤があることを知った。今でもこの2つが私にとっての定番となっている。

 曲の内容は森山良子盤の歌詞を通じて理解していたので久しぶりの我が家に帰るために列車から降りたらパパとママが迎えに来て我が家の庭には昔遊んだ枝もそのままの木がある。そういった普遍的な故郷や家族への愛情を歌ったものだと思っていた。

 ところが調べてみると全く知らなかった(日本語歌詞では意図的に省略されている)新事実に直面して驚いた。

 一部の人には周知のことのようで知らなかった自分の無知が恥ずかしい。

 上記の場面は死刑囚が見ていた夢の話で、歌詞の3番では一転して夜明けに看守と老牧師とともに歩くと死刑執行を暗示し、4番では家の樫の木の木陰に横たわると死を暗示している。

 歌詞の内容は3番の歌詞で、夜明けに看守と老いた牧師とともに歩くということで、死刑囚が死刑執行の前に見た懐かしい故郷と家、父母、恋人の元に帰る夢だということが分る。

 4番の歌詞では家の傍らのオーク(楢、ナラ)の木の木陰に横たわると、より具体的に死を暗示している。

 日本では囚人、刑務所や死刑囚の心情を歌った歌は少なく、あまり悲惨なものはヒットしないので、森山良子のカバーではこの部分は意図的にカットされた。

 これに対して、アメリカではプリズン・ソングの伝統(?)があり、多くの歌がある。現在でも人口10万人あたりの囚人数は700人以上、日本は60~70人で約10倍となり、それだけ刑務所が身近な存在であるという事情がある。

 この歌がイギリスで大ヒットとなったのは、やはり曲の良さとトム・ジョーンズ(Sir Thomas John Woodward OBE=Tom Jones:1940–)のソウルフルな歌唱がドラマチックな内容に合ったためだが、どこか「ダニーボーイ」の歌を反対の立場から歌ったよう感じがイギリス人の感性に合っていたのではないかとも思われる。

 また、オークという木もヨーロッパやアメリカで家具や樽などの材料に使われ、良く見かける落葉樹で、この木陰で憩う経験が一般的であることも、この歌詞が親しみ易かったのだろう。

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名曲の動画 原曲とトムジョーンズ盤

65年発表した作者のオリジナル Curly Putman

この曲の定番といえばやはりTom Jones

Tom Jones(トム・ジョーンズ)66年

全英7週連続1位、全米11位

ライブ映像

スタジアムライブ映像

 牢獄の中で歌う(歌詞の内容に忠実)

09年ライブ

Sir Tom and Mike Duet (The Voice UK 2013)

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カバーセレクション

Joan Baez

Elvis Presley

 Chet Atkins

Charly Pride

Frankie Laine

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Billy Vaughn

Johnny Cash

Jerry Lee Lewis

フランス語に翻案してダリダが歌っている

 67年に恋人のルイジ・テンコが自殺し、彼女が後を追って自殺未遂を起こした後復帰してTV出演した。

 フランス語の歌詞では、恋人あるいは夫と離れて遠くにいる女性がわが家(彼のいる家)に帰る夢を見て、目覚めて周りに灰色の壁しか見当たらないことは同じだが、明朝、始発列車で帰ることにしようと決心するしあわせなお話。

 復帰のステージで歌う歌だから、それにふさわしく明るい内容にしたのであろう。題名は、Les grilles de ma maisonで、直訳すると「わが家の鉄柵」で、原曲のgreen「緑の」という語に似た響きということで、grilleという語を使っている。Le toit de ma maison「わが家の屋根」という題でも呼ばれるようだ。

67年Dalida Les Grilles De Ma Maison

Nana Mouskouri(フランス語)

日本のカバー

 なんといっても日本では森山良子が定番だった。

森山良子

山口百恵

尾崎紀世彦

天地真理

天地真理&キャンディーズ

<歌詞>

英語詞

Tom Jones

The old home town looks the same as I step down from the train,
and there to meet me is my Mama and Papa.
Down the road I look and there runs Mary hair of gold and lips like cherries.
It’s good to touch the green, green grass of home.
Yes, they’ll all come to meet me, arms reaching, smiling sweetly.
It’s good to touch the green, green, grass of home.
The old house is still standing, tho’ the paint is cracked and dry,
and there’s that old oak tree that I used to play on.
Down the lane I walk with my sweet Mary, hair of gold and lips like cherries.
It’s good to touch the green, green grass of home.
Yes, they’ll all come to meet me, arms reaching, smiling sweetly.
It’s good to touch the green, green grass of home.

(spoken:)

Then I awake and look around me, at the four grey walls that surround me
and I realize, yes, I was only dreaming.
For there’s a guard and there’s a sad old padre –
arm in arm we’ll walk at daybreak.
Again I touch the green, green grass of home.
Yes, they’ll all come to see me in the shade of that old oak tree
as they lay me neath the green, green grass of home.

仏語詞

Dalida – Les grilles de ma maison

Ce long voyage est fini
Je me retrouve au pays
C’est d’un pas léger que je me dirige chez moi
J’avais peur que tout me soit étranger
Mais rien ne semble changé
C’est bon d’ouvrir les grilles de sa maison

Dans le jardin tout fleuri
Tu es là qui me souris
C’est bon d’ouvrir les grilles de sa maison

Les murs n’ont pas vieilli
La maison se rit du temps
Et le vieux chêne a mis son habit de printemps
J’avais peur que tout me soit étranger
Mais rien ne semble changé
C’est bon d’ouvrir les grilles de sa maison

{Parlé}
Soudain, au réveil, je n’aperçois
Que des murs gris autour de moi
Et je comprends, oui!
Que je n’ai fait que rêver

S’il est trop tard pour partir ce soir
Demain par le premier train
J’irai ouvrir les grilles de ma maison

Dans le jardin tout fleuri
Tu seras là qui me souris
Ce sera bon d’ouvrir les grilles de sa maison

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