はじめに
フランスでは68年7月に発売されたシルヴィ・バルタン(Sylvie Vartan)のヒット曲。
日本では69年1月の初回発売シングルはヒットせず、流行ったのは70年11月の再リリース盤。
原題「Irresistiblement」、邦題「あなたのとりこ」
68年4月には自動車事故に遭い、彼女は顎と左腕を骨折した。同乗者は死亡するという大事故で一時は再起不能と囁かれた。そんな時に見事にカムバックした記念すべき曲。
作詞はジョルジュ・アベール(Georges Aber)作曲ジャン・ルナー(Jean Renard)。
原題の「Irresistiblement」とはフランス語で「抵抗できないほど」とか「抑えきれないほど」という意味である。歌詞は末尾。
「アイドルを探せ」ブーム後のシルヴィ
大ヒットした1970年11月日本再リリース・シングル盤ジャケット
交通事故からの復帰を宣言した8作目のアルバム「La Maritza(パリの妖精)」ジャケット
「あなたのとりこ」はこのアルバムに収録されている。
64年に「アイドルを探せ」で人気が沸騰し、「パリの妖精」とか「イェイェの女王」と呼ばれ世界的なアイドルとしての人気を誇った。
そんな彼女も65年の結婚と出産、68年の自動車事故と転機を迎えることとなる。
こうしてバラード中心のレパートリーに転換を図りアダルトなシンガーとしての魅力を開花させることに成功する。
そしてシルヴィのキャリアの中でも大きなターニングポイントとなったのが、「あなたのとりこ」が収録されたアルバム「La Maritza(パリの妖精)」だといえる。
このアルバムはオリジナル重視の構成になっており、よりアーティストとしてのアイデンティティを打ち出した仕上がりになっている。
こうした成功の裏にはキュートなルックスに加えて、エネルギッシュなロックンロール・ナンバーからロマンチックなバラードまでを歌いこなす歌唱力があったからこそと思われる。
日本での人気は70年代初めにピークを迎えたが、近年ではCMソングに使われることが増えたため再び人気が復活している。
1971年全国ツアーのため来日中に日本語オリジナル曲「恋人時代」を録音している。
「恋人時代」のジャケット
1990年ブルガリア・ソフィアで帰郷コンサートを行う。ブルガリア共産党政権崩壊1年後のことであった。
★結婚と離婚★
1965年4月フランスの国民的歌手ジョニー・アリディ(Johnny Hallyday)と結婚。アイドル同士の結婚として話題になる。
1966年8月シルヴィと同じ誕生日に長男ダヴィド・アリディ(David Hallydayシンガー・ソングライター)が生まれる。
1980年11月離婚。
1981年東京音楽祭において出会ったアメリカ人プロデューサーのトニー・スコッティ(Tony Scotti)と恋に落ち、1984年に再婚。
★2回の交通事故★
1968年に上述のように交通事故に遭ったのに続き、70年2月の二度目の交通事故ではフロントガラスで顔面を負傷。
一週間後ニューヨークの形成外科の名医に顔に残る傷跡の手当てを受けた。
ともに大きな事故であったにもかかわらず立派に再起を果たす。
★アメリカでのダンスと移住★
1970年からN.Y.やL.A.でダンスに励み2004年まではアクロバットなタンゴから空中ダンスやタップダンスを含め様々なダンスを取り入れた豪華絢爛スペクタクルを興行するようになった。
70年代はアメリカとフランスを行き来していたが、1984年からはL.A.に住みラスベガスでショーを行うなどの活動を続けて、L.A.とパリ半々の生活を送る。
シルヴィの動画
Sylvie Vartan(シルヴィ・バルタン)
TV番組でダンサーを従え歌うシルヴィ
88年remix版
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68年にTVで歌うシルヴィ・バルタン
2008年ライブ
日本のTVCMに採用されること多数
日本では今でも人気が高くフジテレビ「めざましテレビ」のBGM、ANAやサントリー、キリン「ホップの真実」、CANON、いすす等多くのCMソングとして用いられたほか、2001年の映画「ウォーターボーイズ」の挿入歌として知られている。2002年5月には一ヶ月間オリコン上位をキープするリバイバルヒットとなった。
1987年 キヤノン EOS 650
2001年 全日本空輸・羽田空港国内線第2ターミナル開業
2002年 サントリーフーズ・緑水
2009年 麒麟麦酒・ホップの真実
2011年 スズキ・エコカー
2013年 花王ソフィーナ: オーブクチュール
CANONのCM
サントリー「緑水」のCM 2002年
ANAのCM 2004年
イージーリスニングとしても競作になっている。
ポール・モーリア(Paul Mauriat)
レイモン・ルフェーブル(Raymond Lefevre)
ヒット曲のカバーにも積極的なシルヴィ
★中島みゆきの「悪女」のカバー「Ta Vie De Chien」1983年
★「悲しき雨音」のカバー「EN ECOUTANT LA PLUIE」
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★祖国ブルガリアとの結びつき
前述のように1990年ブルガリア・ソフィアで帰郷コンサートを行う。ブルガリア共産党政権崩壊1年後のことであった。
「想い出のマリッツァ(La Maritza)」は1968年にリリースされたアルバム「La Maritza(パリの妖精)」に収録された代表曲の一つ。
祖国ブルガリアへの想いを綴った哀愁モードの郷愁ソングは胸を打つ。
また1991年にはブルガリア赤十字社の下、恵まれない子供や老人の救済を目的とした人道救済非政府団体「Sylvie Vart an pour la Bulgarie」を設立して活動している。
シルヴィとブルガリアの結びつきについてはここに詳しい。
<削除された>
La Maritza(想い出のマリッツァ)
シルヴィに関する日本語情報の多さが人気の証拠
★2008年3月来日中のシルヴィがTVのワイドショーに出た時の記事
★2013年2月来日ライブ観戦記
★2014年4月来日時のインタビュー
「アイドルを探せ」の日本リリースから50周年という節目に2014年4月来日しライブを行った。
その際のインタビュー記事が参考になる。
<歌詞>
Tout m’entraîne irrésistiblement vers toi, comme avant
Tout m’enchaîne irrésistiblement à toi, je le sens
Comme le jour revient après la nuit
Et le soleil toujours après la pluie
Comme un oiseau qui revient vers son nid
Vers mon amour je vais aussi
Tout m’entraîne irrésistiblement vers toi, à chaque instant
Tout m’enchaîne irrésistiblement à toi, je le sens
Comme la mer qui frappe le rocher
Obstinément, sans jamais désarmer
Par le malheur on est souvent frappé
Mais l’amour seul peut nous sauver
Tout m’entraîne irrésistiblement vers toi, à chaque instant
Tout m’enchaîne irrésistiblement à toi, je le sens
Comme la joie revient après les pleurs
Après l’hiver revient le temps des fleurs
Au moment où l’on croit que tout se meurt
L’amour revient en grand vainqueur
Tout m’entraîne irrésistiblement vers toi, comme avant
Tout m’enchaîne irrésistiblement à toi, je le sens
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