【映画・世界残酷物語の主題曲】モア|アンディ・ウィリアムス

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はじめに

 1962年のイタリア映画「世界残酷物語」(原題Mondo Cane 米題A Dog’s World)の主題歌

 リズ・オルトラーニによるこの主題曲は63年のアカデミー賞にノミネートされた。

 原題「More」、邦題「モア」

 ポップス小僧時代の自分にとり、この曲の定番はアンディ・ウィリアムス(Andy Williams)ブレンダ・リー(Brenda Lee)であるが、美しいメロディが大好きになり英語の歌詞をどこかから入手してノートに書いて覚えた。数少ない英詩を暗記して歌える曲の一つである。

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映画のテーマ曲から誕生した名曲

 この美しいメロディのテーマ曲は、映画が完成した後にタイトルがつけられたため、オリジナルのサントラには『MORE』という曲タイトル表記は無い

 イギリスで公開されるにあたり、音楽面からテコ入れを図ろうという目的で、その際に曲名が後付けされたらしい。

 独立した曲として最初にレコーディングしたのは南アフリカ共和国出身でイギリスを拠点に活動していた歌手ダニー・ウィリアムス(Danny Williams)のボーカル曲であった。

 これが大ヒットとなり、その後続々とカバー盤が続くことになった。

 イタリア語歌詞はマルチェッロ・チョルチョリーニ作詞のものが存在していたのだが、あまり知られていない。伊題「Ti guardero’ nel cuore」

 リズ・オルトラーニはこの映画の為に数曲を作曲して組曲風に仕上げている。『モア』もそのうちの1曲で、クレジットではリズ・オルトラーニとニーノ・オリヴィエロとの共作となっているが、実際はリズ・オルトラーニの作品である。

 前述のように映画の完成時点ではこの曲に『モア』というタイトルは付けられていなかったものを、アメリカのノーマン・ニューウェルが英語で歌詞をつけて『モア』と命名したものである。

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作曲家リズ・オルトラーニ(Riz Ortolani)

 1926年イタリアのペーザロに生まれ、地元の音楽院を卒業後、ローマに移りRAI国立交響楽団に参加する。

 すぐに頭角を現し、ジャズ・シンフォニーオーケストラの指揮を任されると瞬く間に有名になる。

 その後自身のオーケストラを編成し、ロザンぜルスに移り有名なナイトクラブ”Chiro’s”で演奏を始めた。

 1961年にはローマに戻り、1962年イタリア映画「世界残酷物語」で映画音楽のキャリアをスタートさせる。アカデミー賞歌曲賞を受賞。その後11作品で受賞、18作品でノミネートされた。

 2014年1月イタリア・ローマのラツィオで気管支炎の為逝去。

 もっと詳しいことは下記参照

リズ・オルトラーニ楽団のオリジナルサウンドトラック盤

Mondo Cane(62年)

Riz Ortolani

独立した曲としてレコーディングされた最初の曲

ダニー・ウィリアムス(Danny Williams)

カバーセレクション

数ある中でやはり定番はアンディ・ウィリアムス

 1927年アイオワ州に生まれたアンディ・ウィリアムスは10代の頃からウィリアムス4兄弟の一人としてケイ・トンプソンのバックを務めたが、そのバンドが解散して1952年にソロとしての活動を開始。

 1950年代半ばからヒットシングルを連発し、1960年代には映画音楽集などのアルバムを次々にヒットさせ、アメリカの国民的シンガーとなった。

 日本ではCM出演をはじめ、「アンディ・ウィリアムス・ショー」(NHKで1962年から9年間放送)、紅白歌合戦にも1991年に出場するなど、甘い歌声は多くのファンを魅了した。来日公演は1967年、70年、73年、82年、88年、2004年、06年の7回行われた。

 2012年ミズーリ州の自宅で膀胱がんの治療中であったが逝去。

 「アンディ・ウィリアムス・ショー」の詳細は下記参照。

Andy Williams(アンディ・ウィリアムス)

TV番組で歌うAndy Williams(1964年)

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アンディ以外のカバー

Brenda Lee(ブレンダ・リー)

Nat King Cole(ナット・キング・コール)

Frank Sinatra(フランク・シナトラ)

Bobby Darin & Sandra Dee

 シナトラの後釜を狙って売り出されたものの40代の若さで亡くなったボビー・ダーリンとサンドラ・ディーのジャズ風アレンジのデュエット

Steve Lawrence(スティーヴ・ローレンス)

 イーディ・ゴーメとのおしどり夫婦として有名な彼は、アイドル歌手が歌うような「悲しき足音」を歌いたがらなかったが、皮肉にもそれが代表曲として日本では知られている。本当は彼が歌いたかったのはこのような大人の曲だったかもしれない。

The Supremes(シュープリームス)

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Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)

 アンドレア・ボチェッリがピアノにデヴィッド・フォスター、トランペットにクリス・ボッティという絢爛豪華な顔ぶれを従え、2011年に歌っている。

Shirley Bassey(シャーリー・バッシー)

迫力があり過ぎて怖いくらい

Johnny Mathis(ジョニー・マティス)

Doris Day(ドリス・デイ)

Judy Garland(ジュディ・ガーランド)

The Lennon Sisters

Katyna Ranieri – Ti guardero’ nel cuore

 作曲のリズ・オルトラーニ夫人であるカティナ・ラニエリが歌って何故かサントラ盤としてリリースされているらしい。

 英語詞が先にブレイクしたため、イタリア語盤の存在は忘れられた。

イージーリスニングのカバー

Raymond Lefevre(レイモン・ルフェーブル)

Carmen Cavallaro(カーメン・キャバレロ)

Kai Winding

Balanço

イタリアのボッサ・ユニットが全編スキャットで歌っている

映画「世界残酷物語」

監督・脚本・制作ともにグァルティエロ・ヤコペッティ。
音楽はリズ・オルトラーニ、ニーノ・オリヴィエロ。

 この映画の邦題は公開の2年前に大ヒットした大島渚監督の「青春残酷物語」(1960年)を意識して配給会社がつけた。

 また「カメラは残酷なまでに現実を捕らえる」という意味が込められている。

 原題のMondo Caneは「犬の世界」の意味だが、イタリア語のスラングで直訳では意味が通じないという理由もあったと思われる。

 ドキュメンタリーと銘打ってはいるものの、実際には「やらせ」を含めたねつ造が多数仕込まれた現実と空想が混在した実にいかがわしい作品である。

 なおこの作品以降モンド映画というジャンルが成立し、ヤコペッティ自身による続編の他に、他の映画監督による亜流映画が多数作られた。1976年に「続・世界残酷物語」と合わせた「世界残酷物語・総集版」が日本公開されている。

日本でタイトルに「残酷」を含んだ映画を列挙する。
日本残酷物語(1963年)
武士道残酷物語(1963年)
陸軍残虐物語(1963年)
幕末残酷物語(1964年)

<歌詞>

More than the greatest love the world has known This is the love I’ll give to you alone
More than the simplest words I try to say
I only live to love you more each day

More than you’ll never know my arms long to hold you so
My life will be in your keeping, waking, sleeping, laughing, weeping
Longer than always is long long time,
But far beyond forever you’ll be mine

I know I never lived before and my heart is very sure
No one else could love you more

I know I never lived before and my heart is very sure
No one else could love you more

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コメント

  1. オリオンの息子 より:

    初めてコメントします。 団塊世代の末期です。
    子供のころから演歌はダメ、ポップス大好き少年でした。初めて買ったドーナツ盤はフォーシーズンズの『シェリー』でした、確か価格は330円と記憶しています。
    さて、今回触れられているダニー・ウィリアムスですが、中学生の頃、ちょっと流行った『White in why』この曲が大好きで最近彼のアルバムを入手して聞いていましたが、まさか『MORE』が彼のデビュー曲とは知りませんでした。たいへん参考になります。
    浅学な小生にいろんなポップスの知識を授けていただけるこのブログを楽しみにしています。

    • 竜馬 竜馬 より:

      コメントありがとうございます

      「シェリー」は大好きでした。九重佑三子から入ってオリジナルはその後知ったのですけど(笑)
      ダニー・ウィリアムスとはかなりのポップス少年ですねぇ。強力な読者とお見受けしました。
      これからアドバイスも期待してます。