はじめに
このタイトルはフランス語をそのままカタカナにしたものだが、その意味は「愛する人よお前無しじゃ(生きてはいけない)」
シンガーソングライターのサルヴァトーレ・アダモ(Salvatore Adamo)の作品。
原題「Sans toi mamie」、邦題「サン・トワ・マミー」
この曲はアダモが当時19歳だった1962年にリリースされ、翌年にベルギーで大ヒット。
日本では越路吹雪の代表曲の一つであり、アダモの作品であることは後になって知ったという人も多かった。
1964年発売の越路のシングルには「愛しているのに」というサブタイトルがつけられた。
岩谷による訳詞では、越路吹雪が歌唱するにあたって、主人公を女性に置き換えた大人の女性の恋の歌になっており、アダモ自身の少年時代の失恋を描いた原詞をかなり意訳したものになっている。
原題の語学的分析(朝倉ノニーの<歌物語>2からの引用)
この曲は、恋が破綻しかかって、「あなたがいないとだめなんだ」と、相手の女性をなんとか引き留めようとする内容です。
元のタイトルがSans toi mamieと書かれていることが多いのですが、mamieという語は二つあり、一つは「おばあちゃん」の意味の語。もう一つはmon amieの古形であるma amie由来の「僕のいとしい女性」という意味の語でm’amieとも綴られます。またmieという語も二つあり、一つは「パンの耳」の意味。もう一つはamieと同義の話し言葉(m’amieの異分析すなわち誤ってma mieと切ったことから派生した語)。これにmaをつけるとma mieとなり、mamieを2語に分けたような形になります。アルバムのジャケットやWikipédiaのフランス語のページ等々を調べた結果、こちらを選ぶことにしました。邦題も「サン・トワ・マミー」ではなく、「サン・トワ・マ・ミー」とします。日本語の歌で、女性の立場の歌詞にこの言葉がそのまま使われているのは妙だとも思うところですが。
オリジナル
詞はアダモ自身の少年時代の経験がベースになっていると言われており、「もう一度チャンスをくれないか」と失恋しても諦められない恋人に対する気持ちが描かれている。
Salvatore Adamo(アダモ)
TVで歌うアダモ(1963年)
日本ではやはり越路吹雪
越路吹雪からこの曲に入った人は多いだろう。1964年の『第15回NHK紅白歌合戦』では、越路によって本楽曲が歌唱された。
2015年11月越路吹雪の35回目の命日に書かれた彼女に関するコラム
越路吹雪
アダモの初来日公演で越路吹雪との共演が実現していた
以下は上記「気紛れDIARY」からの抜粋である。
1967年6月、アダモが初来日した折、ういういしいこの青年歌手のために、大輪の薔薇と見まがうばかりの越路が駈けつけ、文字通り花を添えたのである。
あの時、「ラスト・ダンスは私に」「サン・トワ・マミー」などのヒット曲で人気絶頂だった越路は43歳。イヴ・サンローランのオートクチュールがよく似合い、すでに臈たけた貴婦人の趣があった。一方、アダモは23歳の青年で、貫祿の点では見劣りするものの、それをカバーする若さとエネルギーで精いっぱい拮抗していた。
その他のカバー
ヒットしたにしては海外でのカバーは意外に少ない
Jonatan Cerrada
Caravelli
グラシェラ・スサーナ
由紀さおり
菅原洋一(1時間20分の長編動画で25:00くらいからオー!シャンゼリゼに続いて)
森山愛子
天海祐希
若い頃からの筋金入りファンと思われる女性の来日公演観覧記
<歌詞>
Je sais tout est fini
J’ai perdu ta confiance
Nйanmoins je te prie
De m’accorder ma chance
Si devant mon remords
Tu restes indiffйrente
On ne peut te donner tort
Mais soit donc indulgente
Au nom des joies
Que nous avons vйcues
Au nom de l’amour
Que nous croyons perdu
Sans toi ma mie
Le temps est si lourd
Les heures et les jours
Sombrent sans espoir
Sans toi, ma mie
Sans toi, ma mie
Je vogue sans but
Je vogue perdu
Sous un ciel tout noir
Comprends que dans les rues
Tant de filles nous tentent
Et leur air ingйnu
Nous torture et nous hante
Aussi je viens vers toi
Pour te confier ma voile
Toi tu me guideras
Tu es ma bonne йtoile
Sans toi, ma mie
Le temps est si lourd
Les heures et les jours
Sombrent sans espoir
Sans toi, ma mie.
<日本語訳(朝倉ノニー)>
すべてが終わったことは分かっている
僕は君の信頼を失ってしまった
それでも お願いだ
僕にチャンスを与えておくれ
もし僕の後悔を目のあたりに見ながら
君がそっけないままでいたって
ひとは君を非難できないよね
でもね許しておくれよ
僕たちが生きてきた
楽しい生活の名にかけて
僕たちが失ってしまったと思っている
愛の名にかけて
僕のいとしい人、君がいないと
時はとても重苦しく
時間も日々も
希望のないまま暗澹として過ぎゆく
僕のいとしい人、君がいないと
僕のいとしい人、君がいないと
僕はあてどもなくさまよう
僕は途方に暮れてさまよう
真っ黒な空のもと
分かるかい、街では
何人もの娘たちが僕ら男を誘惑する
彼女らのおろかしい態度が
僕らを追いかけ僕らにつきまとうんだ
だから僕の帆を君にゆだねるため
僕は君へと向かう
君は僕を導いてくれるだろう
君は僕の幸運の星だ
僕のいとしい人、君がいないと
時の歩みはとても重苦しく
時間も日々も
希望のないまま暗澹として過ぎゆく
僕のいとしい人、君がいないと
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