はじめに
フォー・シーズンズ(Four Seasons)62年の全米1位(5週連続)ヒット曲。
特徴のある裏声が実に印象的な名曲。
日本では63年にカバーした九重佑三子のボーカルでパラキン(ダニー飯田とパラダイスキング)の日本語ヴァージョンの方がヒットして有名。
当時の記憶がハッキリしないのだがラジオのポップス番組を手当たり次第チェックしていたポップス小僧の自分としては、この「シェリー(Sherry)」も殆ど米国と同時に聞いていたと思う。
それからかなり時間経過して九重佑三子とパラキンの日本語ヴァージョンを知ったはず。
初めてフォー・シーズンズのこの曲を聞いた時には強烈なファルセット・ヴォイスに強い印象を受けた記憶がある。
今と違って画像(特に動画)の入手が困難であるため、歌ってるのが男か女か最初はわからないほどだった。
日本ではオリジナルよりもパラキンのカバーの方が大ヒットとなったので、フォー・シーズンズの印象はポップス小僧のような一部マニアを除けば強いものではなかった。
「シェリー(Sherry)」以後の輝かしい米国での実績は今回この文章を書くにあたって調べてみて初めて知った次第である。
「シェリー(Sherry)」に続く米国での大ヒット曲の数々を今回改めて聞いてみた。どれも聞き覚えのある曲ばかりであった。
多分ラジオでは流れていたと思われる。
なのにどうしてフォー・シーズンズのことを今まで一発屋だと思い込んでいたのか考えてみた。
フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)の強烈なファルセット・ヴォイスによって、あまりに「シェリー(Sherry)」の印象が強すぎて続くヒット曲のどれもが二番煎じに当時の自分には聞こえたのではないか。
ビートルズの影響も考えたが62年に「シェリー(Sherry)」に続いて全米1位になった3曲もの大ヒットがあったことも知らなかったことの説明にはならない。
Four Seasons(フォー・シーズンズ)
米国での存在感の大きさに比べて日本ではそれほど認知されていないグループであるFour Seasons(フォー・シーズンズ)のことについて基本的な情報を整理しておく。
2番目のシングルである代表曲「シェリー(Sherry)」の大ヒットを皮切りに3曲連続でビルボード1位を独占し、その後全米チャートを賑わせた曲の数は71曲。うち15曲がトップ10入り、さらに5曲が1位獲得。
これまでに売り上げたレコードは約1億7500万枚以上。
1990年にはロックの殿堂入り。60年代都会派アメリカン・ポップスを西海岸のビーチ・ボーイズと共に代表する人気グループであった。
メンバーの変遷
白人男性4人のボーカル・グループ。
フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)
ボブ・ゴーディオ(Bob Gaudio)
ニック・マッシ(Nick Massi)
トミー・デビート(Tommy DeVito)
ボブを除いた3人は「ザ・フォー・ラバース(The Four Lovers)」というグループで約6年間歌っており結構ヒットも飛ばしていた。そのグループを解散した3人はボブを加え新しいグループ「ザ・フォー・シーズンズ(Four Seasons)」を結成する。
グループ名はニュージャージー州にあったボウリング場に由来している。
黒人音楽の名門レーベル、ヴィージェイから再デビューを飾った。
グループ誕生当時フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)は無名の下積み歌手生活が10年近く続き、いつの間にか27歳になっていた。さすがに歌手の道を諦めかけヘアー・ドレッサーへの転職を考え始めていた。
第2弾の「シェリー(Sherry)」で火が付く
デビュー作「バーミューダ(Berumuda)」はヒットしなかったが第2弾の「シェリー(Sherry)」が大ヒット。
「Big Girls Don’t Cry(恋のヤセがまん)」(1位、5週)
「Walk Like a Man(恋のハリキリ・ボーイ)」(63年2月1位3週)
「Rag Doll(悲しきラグ・ドール)」(別途動画掲載)
等続けざまにヒットさせる。
フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)はグループと平行して70年代中頃からソロ活動も行い「My Eyes Adored You(瞳の面影)」等のヒットも飛ばしている。
さらにフランキー・ヴァリ(Frankie Valli)はグループと平行しながら60年代後半からソロ・シンガーとしても活躍し「君の瞳に恋してる(Can’t Take My Eyes Off You)」(別途動画掲載)のオリジナル・ヒットを持っている。
78年には映画「グリース(Grease)」のテーマで1位を獲得している。
フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)とボブ・ゴーディオ(Bob Gaudio)の才能
フォー・シーズンズがこうして成功し、さらに短いブランクを乗り越え、ドゥーワップという過去のスタイルで70年代まで生き延びることが出来た。
その理由として最大のものはフランキー・ヴァリとメンバー兼作曲家ボブ・ゴーディオの優秀な才能だが、他にも忘れてはいけない関係者がいる。
後に喧嘩別れしてしまうプロデューサーで自分でもアルバムを出しているボブ・クルー(Bob Crew)とアレンジャーのチャーリー・カレロ(Charlie Calello)こそが成功を支えたのである。
なお1970年からはフランキー・ヴァリ アンド ザ・フォー・シーズンズ(Frankie Valli and The Four Seasons)となっている。
この「シェリー(Sherry)」を作曲したボブ・ゴーディオ(Bob Gaudio)はたった15分で書き上げたという。当初のタイトルは当時の大統領夫人の名前から「Jackie Baby」だった。
68年のインタビューでボブ・ゴーディオ(Bob Gaudio)はBruce Channelの61年のヒット曲「Hey Baby」(全米1位)に触発されて作ったと語っている。
曲名はその後「Terri Baby」と変わり最終的には「Sherry」となったが、その由来はボブ・ゴーディオの友人であるNYのDJの娘さんの名前らしい。
フォー・シーズンズ(Four Seasons)のオリジナル
Four Seasons(フォー・シーズンズ)
ボブ・ゴーディオがSherryを書く時に参考にしたというのがこれ。盗作じゃないかと思うほどよく似てる。
Bruce Channel – Hey Baby
「シェリー」以外のヒット曲
「シェリー」以外の曲も少しだけ紹介する。90年ロックの殿堂表彰式で再会したオリジナルメンバー4人で歌ったのがこの曲。オールディーズ好きなら出だしの心地良いドラムの音を聞いて「ザ・ロネッツ」の「ビー・マイ・ベイビー」を思い出すはず。あの大物プロデューサー「フィル・スペクター」も彼らと人脈でつながっている。足拍子が効果的で印象に残る。
Rag Doll (悲しきラグ・ドール)- The Four Seasons
この名曲はよく知っていたが、オリジナルが彼等だとは知らなかった。
君の瞳に恋してる(Can’t Take My Eyes Off You)ーFrankie Valli and The Four Sesons
このカバーは数え切れないが一つだけ紹介する。
Boys Town Gang
「君の瞳に恋してる」に関しては大物がこぞってカバーしているので、この曲だけで独立した項目を書く価値があるように思う。
フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)はこのようにソロでも活躍してる。
映画「Grease」のテーマーFrankie Valli (1978年)
日本での「シェリー」
日本ではダニー飯田とパラダイスキング(ヴォーカルは九重佑三子)のヴァージョンが定番でよくTVで歌っていた。日本ではオリジナルを超える大ヒットとなった。その後九重は独立するがこの曲を超えるヒットは出せず鳴かず飛ばず状態。九ちゃんと同じ道を歩こうとしたが失敗に終わった。
パラキンのジャケット
九重佑三子(ダニー飯田とパラダイスキング)
ザ・ピーナッツ
★★★映画「ジャージー・ボーイズ(Jersey Boys)」★★★
2006年度のトニー賞を独占したブロードウェイ・ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」がクリント・イーストウッド監督により映画化され、2014年6月アメリカ・9月日本でそれぞれ公開された。
オリジナルの予告編
日本オリジナル予告編
<歌詞>
Sherry, Sherry baby
Sherry, Sherry baby
Sherry baby (sherry baby) baby (Sherry baby)
Sherry can you come out tonight?
(Come, come, come out tonight)
Sherry baby (Sherry baby)
Sherry can you come out tonight?
(Why don’t you come out, come out)
Come out to my twist party
(Come out) Where the bright lights shine
(Come out) We’ll dance the night away
I’m gonna make you mine
Sherry baby (Sherry baby)
Sherry can you come out tonight
(Come come, come out tonight)
(Come come, come out tonight)
You’d better ask your mama (Sherry baby)
Tell her everything is alright
(Why don’t you come out, come out)
With your red dress on
(Come out) Mmm. you look so fine
(Ccome out) Move it nice and easy
Girl, you make me lose my mind
Sherry baby (sherry baby) baby (Sherry baby)
Sherry can you come out tonight?
(Come, come, come out tonight)
(Come, come, come out tonight)
Sherry, Sherry baby
(Come, come, come out tonight)
Sherry, Sherry baby
(Come, come, come out tonight)
Sherry
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