世界的大ヒット誕生経緯
この曲はイタリアの音楽グループDaniel Sentacruz Ensenble(ダニエル・センタクルツ・アンサンブル)によって1972年に作曲され、1974年にヨーロッパ中に大ヒットした器楽曲。
原題は「Soleado(ソレアード)」、邦題「哀しみのソレアード」
原題の意味
スペイン語で日だまりとか日当たりの良い場所という意味というのが一般的な説となっているが、実際に辞書には出ていない。
ダニエル・センタクルツ・アンサンブル(Daniel Sentacruz Ensenble)のリーダーでこの曲を共作したチロ・ダッミッコが「森の中に降り注ぐ陽の光」をイメージした造語だと述べている。
この曲が世界的な大ヒットとなって以来、世界中で競作ブームを巻き起こし、ポール・モーリア、パーシー・フェイス、フランク・プールセル等インストゥルメンタルの大御所たちが挙ってこの作品を採り上げていった。
ダニエル・センタクルツ・アンサンブル(Daniel Sentacruz Ensenble)
結成経緯
永遠のスタンダード・ナンバーである「哀しみのソレアード(SOLEADO)」のヒットで有名なダニエル・センタクルツ・アンサンブル(Daniel Sentacruz Ensenble)は、ドラマー出身のカンタウトーレ、チロ・ダッミッコ、チロのバック・アップでソロ活動もしたマーラ・クベッドゥ、そしてロザンナ・バルビエーリの女性2人を含む3人のユニットとして、74年にデビューした。
結成のいきさつとしては、ソロ・アーティストとして十分な結果が出せなかったチロ・ダッミッコが、自作曲「LE ROSE BLU」をインストゥルメンタルで演奏し直し、「哀しみのソレアード(SOLEADO)」として発表したいとEMIに申し出たところから始まった。
この曲には総勢5人もの作家が名前を連ねているが、その中にアレンジャーとして参加しているダリオ・バルダン・ベンボも入っている。
本作は日本でもシングル・アルバムともに発売されており、当時はラヴ・サウンズと呼ばれたイージー・リスニングのジャンルで、しっかりと人気を獲得していた。
曲の特色
内容は平たく言うとポール・モーリアや、イタリアのイル・グァルディアーノ・デル・ファーロのようなものだが、イタリアならではの叙情性も垣間見れる。
ユニークなのが、イージー・リスニングらしいベートーベンの「エリーゼのために」やビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」の他に、ポール・マッカートニーの「ジャンク」やキャロル・キングの「コラソン」をカヴァーしていることであろう。思ったよりファンキーな音作りが楽しめる。
「哀しみのソレアード(SOLEADO)」は最高2位にまで上がり、74年の年間チャートでも3位に入る大ヒットを記録し、アルバムも21位にまで上がっている。
彼等は76年に「LINDA BELLA LINDA」(ピンク・レディーがカヴァー)でサンレモ音楽祭の9位に入賞し、年間11位になる大ヒット、さらに78年のサンレモ音楽祭にも「MEZZANOTTE」で参加し、年間74位に入るヒットを出したが、79年に解散している。
日本発売盤
原曲は14世紀イタリアの曲
オリジナルの作品は14世紀後半にイタリアで活躍した作曲家、アントニオ・ザカーラ・ダ・テーラモ(Antonio Zaccara da Teramo)が作曲したとされているが、14世紀といえばヨーロッパでは中世にあたり、音楽的にはアルス・ノーヴァの代表的な作曲家ギョーム・ド・マショーらが活躍していた時代である。
しかしこの作品のどこか感傷的で宗教的感情を持った美しいメロディーを聞けば、それも頷けるものがある。
この作品の原題は「SOLEADO」、タイトルが示すように、暗雲垂れ込めた雲間から射す陽の光の温かさを感じさせるようなこの曲の持つ魅力的なメロディーは歌手たちを魅了し、英語やフランス語の歌詞が付けられて多くの歌手によって歌われていった。
Fred Jay による “When A Child Is Born” の歌詞でアメリカの歌手ジョニー・R・マチス(Johnny R. Mathis)がクリスマス・ソングとして歌ったのをはじめ、フランスのミレイユ・マチュー、そして日本ではクミコがこの作品を採り上げている。
日本ではポールモーリア楽団バージョンが定番になっている。
ポール・モーリア・ベスト・セレクション 哀しみのソレアード、他
動画2選
Daniel Sentacruz Ensemble
Paul Mauriat
米国では歌詞をつけてクリスマスソングに発展した動画
When A Child is Born「子供が生まれる時」
今日に至るまで、世界中のアーティスト達により様々な歌詞がつけられて歌われている。中でもアメリカの歌手ジョニーマティス(John Royce Mathis)によるイエス・キリストの降誕をテーマとした「When A Child Is Born」の歌詞でマティス風にアレンジしてクリスマスソングとしたものが特に有名。
これは今でも多くの歌手によって歌われている。語りの部分から察すれば、チャイルドは一般的な子供だと思われるが、クリスマスソングとして歌われればチャイルドはキリストを指すとも考えられ、「御子が生まれ給いし時」と訳す事も出来る。
歌詞の中では明示的に「クリスマス」といった単語は使われていないが、ベツレヘムの星やイエス誕生が暗に描写されており、キリスト降誕祭であるクリスマスに相応しい楽曲として、年末シーズンに英米圏で耳にする機会がある。
Johnny Mathis(ジョニー・マティス)
Sarah Brightman (サラ・ブライトマン)
Charlotte Church(シャルロット・チャーチ)
フランスでは歌詞をつけてシャンソンに発展
On ne vit pas sans se dire adieu「さよならを言わずに生きることは無い」
ミレイユ・マチュウはフランス語の歌詞をつけてシャンソン風に歌った。adieu(アデュー)とは最後の別れの言葉で、二度と会うことは無いという強い響きがある。
またそれを自分に言い聞かすのか、互いに言い合うのかどちらかなのだが、いずれにしろ日本語の歌詞とは少し違う。(末尾の日本語歌詞参照)
Mireille Mathieu(ミレイユ・マチュウ)”On ne vit pas sans se dire adieu”
他にも紹介しきれないほどのカバーが様々な言語でアップされている。
特にスペイン語やポルトガル語が多いのは題名がスペイン語であることに関係があるのかもしれない。
Moacyr Franco
Musica Instrumental セリフ付き
Francisco Cuoco セリフ付き
イージーリスニングとしてインスト曲の動画
Percy Faith
Sam Clayton Band
Frank Pourcel
Nini Rosso
日本語歌詞でも大ヒット
また歌としてはミレイユ・マチュウのバージョンが翻訳されてシャンソン風に日本でも歌われたが、その翻訳についてはいつものことだが複数存在し賛否が割れている。下記以外にも野口五郎も歌っているとは知らなかった。
クミコ
3.11の大震災当日石巻でコンサート中だったクミコは大人の恋愛をテーマにした歌詞の中の「一歩だけ前へ」が復興再生への共感を呼んでいるらしい。
邦題「最後の恋」
フレデリック・ダール・オーケストラ(ジェットストリームの日本語朗読付き)
弘田三枝子
アルバムジャケット 収録アルバム(2014年)の32曲目
由紀さおり
<フランス語歌詞>
On ne vit pas sans se dire adieu Mireille Mathieu
On ne vit pas sans se dire adieu
On ne vit pas sans mourir un peu
Sans abandonner pour aller plus loin
Sur son chemin quelque chose ou quelqu’un
Je suis venu pour te dire adieu
Un souvenir, meurt toujours un peu
J’ai voulu savoir, ce qu’il m’a rest?
Du seul amour, qui ait pu compt?
Je suis venu pour te dire adieu
Ou si tu veux, adieu? Nous deux
Comme le jour, o? Tu m’as fait pleur?
En me disant adieu? Jamais
Oh ce n’? Tait pas ta faute, je le sais
Je sais tout ce qu’il allait se passer, allez
Ton p? Re et tout ce qu’il a pu te dire
Tes? Tudes? Finir, ton service, ton avenir
Et puis cette fille n’est pas pour toi
Aujourd’hui tu es une autre
Tout est qui finit bien, quand
Mais qu’est-ce que j’ai pu t’aimer toi
J’avais seize ans, seize ans
On ne vit pas sans se dire adieu
On ne vit pas sans mourir un peu
J’ai voulu arr? Ter le temps
Le temps de dire, adieu mes seize ans
J’ai voulu dire, adieu mes seize ans
Avant d’aller, vers ce qui m’attend
<英語歌詞>
When A Child is Born Johnny Mathis
A ray of hope flickers in the sky
A tiny star lights up way up high
All across the land, dawns a brand new morn
This comes to pass when a child is born
A silent wish sails the seven seas
The winds of change whisper in the trees
And the walls of doubt crumble, tossed and torn
This comes to pass when a child is born
A rosy hue settles all around
You’ve got the feel you’re on solid ground
For a spell or two, no-one seems forlorn
This comes to pass when a child is born
And all of this happens because the world is waiting,
Waiting for one child
Black, white, yellow, no-one knows
But a child that will grow up and turn tears to laughter,
Hate to love, war to peace and everyone to everyone’s neighbour
And misery and suffering will be words to be forgotten, forever
It’s all a dream, an illusion now
It must come true, sometime soon somehow
All across the land, dawns a brand new morn
This comes to pass when a child is born
<日本語歌詞> 作者不詳
もうすぐ終わるのね 二人の砂時計
さよならの足音が 背中に聞こえるわ
あなたのぬくもりを くださいもう一度
このこころこの肌で 覚えておきたいの
ひとりで生きて行く 明日はつらいけど
倒れずに行けるでしょう 想い出がある限り
(語り)この広い世界のかたすみで
めぐりあい 愛し合い
そして別れてゆくふたり
でも さよならのかわりに
ひとことだけ言わせてください
あなたに会えてしあわせでした
さびしい人生に ひかりをくれたひと
今はただ言いましょう この愛をありがとう
今はただ言いましょう この愛を ありがとう
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