はじめに
ウェイン・フォンタナ&ザ・マインドベンダーズ(Wayne Fontana & The Mindbenders)はリーダーでヴォーカリストのウェイン・フォンタナ(Wayne Fontana)が61年にイギリスのマンチェスターで結成したザ・ジェッツというバンドが始まりでメンバーチェンジを繰り返しながら63年にエリック・スチュワート(Eric Stewart)が加わりマインドベンダーズと名乗ってマンチェスターを中心に活動していた。
同年にフォンタナからHello Josephineという曲でデビューを果たしている。
ちなみにウェイン・フォンタナのフォンタナはエルヴィス・プレスリー初期のバックバンドのドラマーD.J.Fontanaからとったもので、レコード会社の名前とは無関係である。
原題「The Game Of Love」、邦題「ゲーム・オブ・ラブ」
アメリカ盤、一番右がウェイン・フォンタナで、一番左がエリック・スチュワート
日本発売盤ジャケット
グループの生い立ち
ウェイン・フォンタナのステージネームでバックバンド「ジェッツ」を従えて英国各地のクラブに出演していた。
このジェッツからベーシストのボブ・ラングのみが加わり、他のグループからエリック・スチュワートとリック・ロズウェルを加えた「ウェイン・フォンタナ&ザ・マインドベンダーズ(Wayne Fontana & The Mindbenders)」として音楽シーンに登場した。
この時のメンバーはリーダーでボーカルのウェイン・フォンタナの他にギターのエリック・スチュワート(当時19歳)、ボブ・ラングとリック・ロズウェルの4人であった。
1963年7月にはフィリップス・レコード傘下のフォンタナ・レコードから
1stシングル Hello Josephine 全英46位 ファッツ・ドミノのカバー
2ndシングル For You,For You チャートインせず
3rdシングル Little Darlin’ チャートインせず
4thシングル Stop,Look And Listen 全英37位 ベン・E・キングのカバー
という鳴かず飛ばずの状態が続くものの、ビートブーム最高潮にあった64年後半にリリースしたカーティス・メイフィールド作でメジャー・ランスのカバー
「Um,Um, Um,Um, Um,Um(恋のウムウム)」(全英5位)
に続き、アメリカのソングライター、クリント・バラード・Jの作品
「ゲーム・オブ・ラブ(The Game Of Love)」(65年全米1位、全英2位)
でようやくブレイクする。
大ヒットの後が続かなかった
しかしその後出した2枚のシングル
1965年6月 7thシングル It’s Just A Little Bit Too Late 全米45位全英20位
1965年9月 8thシングル She Needs Love 全英32位
が振るわず、ルックスもよくスター性もあったウェイン・フォンタナは脱退してソロ活動し、マインドベンダーズはメンバーを変えて活動をすることになる。
ソロシンガーとして独立したウェイン・フォンタナはそのままフォンタナ・レコードに残り、
It Was Easier To Hurt Her 1965年12月 全英35位 ダスティ・スプリングフィールドのカバー
Come On Home 1966年 全英16位 ジャッキー・エドワーズ作
Pamela,Pamela 全英11位 グレアム・グールドマン作
とそこそこのヒットは出すものの、期待されたほどの活躍ではなかった。それでも売れないながらも70年代まではしぶとくシングルを出し続けた。
なお彼は現在オールディーズ系のプロダクションを構え、当時活躍したアーティスト達と契約して興行をうっている。
一方のマインドベンダーズは大活躍
残された地味なメンバーのマインドベンダーズもフォンタナ・レコードに残り、エリック・スチュワートをリード・ボーカルとし、1965年12月トニー・ワイン&キャロル・ベイヤー・セイガー作でパティ・ラベル&ザ・ブルーベルズのカバーとなる
A Groovy Kind Of Love(恋はごきげん) 全米2位全英2位
の大ヒットを出した。しかもこの曲は1980年代にフィル・コリンズもカバーして大ヒットとなった(後述)
続いて1966年にリリースした同じくトニー・ワイン&キャロル・ベイヤー・セイガー作の2枚のシングル
Can’t Live Without You 全英28位
Ashes To Ashes 全米55位全英14位
がそれなりのヒットとなるものの、その後しばらくはヒットが出なくなった。
1967年8月リック・ロスウェルが脱退し、ポール・ハンコックが加入。
1967年9月リリースしたボックス・トップスのカバーシングル「The Letter」(全英42位)ではグレアム・グールドマンをプロデューサーとして迎えた(ジョン・ポール・ジョーンズもアレンジャーとして参加)ことから久々のヒットとなった。
これがきっかけでグレアム・グールドマンはマインドベンダーズに加入するが、1968年8月にリリースしたグレアム・グールドマン作のシングル「Uncle Joe,The Ice Cream Man」を最後に解散する。
なお1967年にはLuluの主題歌がNo1になったシドニー・ポワチエ主演の映画「To Sir With Love(いつも心に太陽を)」にダンスバンド役で出演している。
映画「To Sir With Love」予告編
Wayne Fontana & The Mindbendersの動画
さて本題に戻ってこの曲は日本ではそれほどのヒットとはならず、カバーも作られなかったように記憶している。
ただラジオからは良く流れていたのを聞いていたので覚えている。
Wayne Fontana & The Mindbenders
1965年4月全米1位
ライブ映像
TV映像
フィル・コリンズのカバーも大ヒットとなった”A Groovy Kind Of Love”
クレメンティのソナチネ第5番ト長調ロンドをベースに、当時米国の高校生だったトニー・ワイン(Toni Wine)とキャロル・ベイヤー・セイガー(Carole Bayer Sager)が書いた曲。
ちなみにトニー・ワインはソングライターとして有名な女性で、1969年に大ヒットしたアーチーズの「シュガーシュガー」(全米1位)をはじめトニー・オーランド&ドーンの「キャンディダ」などの作者でもあり、キャロル・ベイヤー・セイガーは、映画「007私を愛したスパイ」のテーマ「Nobody Does It Better」や「ミスター・アーサー」のタイトル曲「Best That You Can Do」などを手掛けている。
The Mindbenders
Phil Collins
1988年にPhil Collinsが映画バスターの中でカバーして全米・全英ともに1位となった。
マインドベンダーズは人気グループ10CCへと発展
マインドベンダーズ解散とほぼ同時にエリック・スチュワートはグレアム・グールドマンと共同出資でかねてからの夢であったストロベリー・スタジオを開設した。
グレアム・グールドマンがかつて在籍していたモッキンバーズのメンバーだったケヴィン・ゴドリィがロル・クレームとヤードバーズのマネージャーだったジョルジオ・ゴメルスキーが設立したレーベル”マーマレード”よりリリースしていた”フラブジョイ&ランシブル・スプーン”名義でのレコーディングをストロベリー・スタジオで行ったのがきっかけとなり、ホットレッグスを経て10ccへと発展していく。
ということで現在ではマインドベンダーズはUKポップスの源流と見なされており、当時残された作品を探し求める熱心なコレクターは多い。
10ccは、既に数々の曲をヒットさせたグループを経験しているスタジオミュージシャン4人で結成したグループである。
・グレアム・グールドマン(Graham Gouldman) – Bass Vocal
・エリック・スチュワート(Eric Stewart) – Vocal Guitar
・ロル・クレーム(Lol Creme) – Vocal Keyboard
・ケヴィン・ゴドレイ(Kevin Godley) – Vocal Drums
ケヴィン・ゴドレイとロル・クレームは少年期からグレアム・グールドマンと友人で一緒にバンド活動をしていたが、マインドベンダーズ解散後、4人で活動するようになり、たまたま冗談で録音した「ネアンデルタール・マン」をホットレッグス名義でリリースしたところ、全世界で200万枚以上を売り上げるヒットとなった。
しかし突然のヒットに対応しきれず、アルバム制作が遅れてしまい、いわゆる一発屋になってしまう。
その後はバンド活動を続けながら、スタジオミュージシャンとして数多くのアーティストのレコーディングを行うが、エリック・スチュワートの友人である人気歌手のジョナサン・キングが設立したUKレコードと契約し、ジョナサン・キングに10ccとネーミングされ、新曲「ドナ(Donna)」でデビューすることになり、全英2位を記録する。
なお当時のグレアム・グールドマンは、ウェイン・フォンタナの「パメラ」、エリック・クラプトンがいる頃のヤードバーズの「フォー・ユア・ラブ」、ホリーズの「バスストップ」、他にもシャドウズやシェールなどにもヒット曲を提供しており、それらを自らカバーしたアルバム「The Graham Gouldman/Thing」(1968年)を発表している。
<歌詞>
The purpose of a man is to love a woman,
And the purpose of a woman is to love a man,
So come on baby let’s start today, come on baby let’s play
The game of love, love, la la la la la love
It started long ago in the Garden of Eden
When Adam said to Eve, baby, you’re for me
So come on baby let’s start today, come on baby let’s play
The game of love, love, la la la la la love
Come on baby ‘cause the time is right
Love your daddy with all your might
Put your arms around me, hold me tight
Play the game of love
The purpose of a man is to love a woman,
And the purpose of a woman is to love a man,
So come on baby let’s start today, come on baby let’s play
The game of love, love, la la la la la love
[Instrumental break]
The purpose of a man is to love a woman,
And the purpose of a woman is to love a man,
So come on baby let’s start today, come on baby let’s play
The game of love, love, la la la la la love
Come on baby ‘cause the time is right
Love your daddy with all your might
Put your arms around me, hold me tight
Play the game of love
The game of love, (love), love, (love), la la la la la love
The game of love, (love), love, (love), la la la la la love
The game of love baby, the game of la la la la love
The game of love baby, the game of la la la la love
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