はじめに
サン・トワ・マミーに続くSalvatore Adamo(サルバトーレ・アダモ)の63年の世界的ヒット曲。
原題は「Tombe la neige」、邦題は「雪が降る」
雪の降る夜に来ぬ人を待つ心情を綴ったこの曲は、1963年にアダモ自身が作詞・作曲したもので、当時ベルギーやフランスではヒットしていたが、日本では殆ど知られていなかった。
アダモは昭和42年(1967)に来日して初公演。同じ年に越路吹雪がカヴァーした「サン・トワ・マミー」がヒット。その相乗効果で“アダモブーム”が起き、「雪が降る」のビッグ・ヒットにつながっていく。
1969年末に作詞家の安井かずみが日本語の歌詞をつけると、アダモの日本での最大のセールスとなった。日本では1970年1月から4月にかけて大ヒットしている。
また1969年来日時には記念盤として日本語バージョンをリリースした。
“アダモブーム”が大爆発したのは昭和44年から45年にかけて。アダモの歌う日本語版「雪が降る」が大ヒット。
そのほかの彼の持ち歌
「ブルージーンと皮ジャンパー」EN BLUE JEANS ET BLOUSON D’CUIRや
「サン・トワ・マミー」SANS TOI MAMIE、
「夜のメロディー」LA NUIT、「インシャラー」IN CH’ALLAH、
「夢の中に君がいる」MES MANS SUR TES HANCHES
なども広く知られるようになった。
アダモのプロフィール
アダモのプロフィールに関しては別記事にまとめて書いてるのでそちらを見てほしい。
オリジナル(Original French)
Salvatore Adamo(サルバトーレ・アダモ)
雪の映像と曲がマッチしている
Laurant Voulzy & Salvatore Adamo
2008年アダモはローラン・ヴールズィ (Laurent Voulzy) とのデュオでこの曲を再録音し、アルバム『Le bal des gens bien』に収録した。
Salvatore Adamo & Drothee
アダモ49歳、ドロテ39歳の時、フランスのTVでデュエットで歌っている。名唱といえる。ドロテがまるで人形のように可愛らしい。
日本でも大ヒット
1969年6月1日発売の日本語盤ジャケット(安井かずみ訳詞、B面)
日本語バージョン
多くの言語で歌い世界的に広まる
Turkish
1965年トルコの歌手アジダ・ペッカンは、フェクリ・エブシオグル (Fecri Ebcioğlu) が「雪が降る」を編曲した「Her Yerde Kar Var」を、1965年の初レコーディングで歌った。
Ajda Pekkan(アジダ・ペッカン)再録音版 – Her Yerde Kar Var
NİLÜFER – HER YERDE KAR VAR
Candan Ercetin(ジャンダン・エルチェティン)
トルコのシンガー・ソングライター。軽快でリズムを強調したアレンジ。
アダモ自身もトルコ語でリリースしている
German
Alexandra(アレクサンドラ)- Grau zieht der Nebel
Russian
Emil Gorovets(エミール・ゴロヴェッツ) – И падает снег
Italian
2010年、アダモはマリオ・バラベッキア (Mario Barravecchia) とのデュエットで、アダモ自身のイタリア語版に基づく「Cade la neve」としてこの曲を歌った。
このバージョンは、アルバム『Intimo – Le più belle canzoni italiane』に収録されている。 しかしデュエットバージョンはアップされていないのでアダモ単独バージョンをどうぞ
Salvatore Adamo – Cade la neve
Spanish
Salvatore Adamo – Cae la nieve
Los Panchos(CAE la NIEVE)
French
1969年アルバム『L’amour est bleu』にこの曲を収録した。
Daniele Vidal
Vietnamese
Ngọc Lan(ゴックラン)1956-2001ベトナム出身でアメリカで活動した歌手
イージーリスニングのカバー
イージーリスニングとしてもカバーされている。 ポール・モーリアは1971年にインストゥルメンタル・バージョンをアルバム『Tombe la neige』に収録した。
Paul Mauriat(ポール・モーリア)
Raymond Lefevre(レイモン・ルフェーブル)
日本語のカバー
日本語のヴァージョンは3種類あり、以下のように多くの歌手でカヴァーされている。
①詞:安井かずみ→アダモ、尾崎紀世彦、ピーター、因幡晃、五木ひろし、森光子、ペドロ&カプリシャス(前野曜子)、ペドロ&カプリシャス(高橋真梨子)、テレサ・テン、欧陽菲菲
②詞:岩谷時子→越路吹雪
③詞:あらかはひろし→岸洋子
どの日本語詞も原詩にほぼ近いが、やはり安井かずみのものが一番心に沁みる。
実はこの曲は安井かずみが離婚してフランスに滞在中、彼女をなぐさめようと彼女の友人であったアダモが作った歌に彼女が日本語詞をつけたもので、「ドナドナ」や「ヘイ・ポーラ」など多くのカヴァー曲の訳詞を手がけた曲の中ではもっともヒットしたものだった。
美空ひばりなど大物歌手がこぞってカバーを出していることからもわかるように、日本では歌謡曲としての地位を獲得しているのではなかろうか。
越路吹雪が日本にアダモを紹介した
越路吹雪といえば、もはや「愛の讃歌」とともに彼女の“看板ソング”となった「サン・トワ・マミー」。
実はアダモのブレイク前の昭和39年に吹き込んでいる。それがジリジリと浸透して3年後にブレイクしたというわけ。
おそらく、日本でいちばんはじめにアダモをカヴァーしたシンガーと思われる。
ほかにも「ろくでなし」や「夢の中に君がいる」そして「雪が降る」もふくめ、女性でありながら多くのアダモの歌をカヴァー。
昭和46年には『越路吹雪アダモを歌う』というLPを発売。
その後、多くの日本のシンガーがアダモの歌をカバー。とりわけこの「雪が降る」はどこか歌謡曲の雰囲気もあって、人気があった。
越路吹雪
美空ひばり
パトリック・ヌジェ&長谷川きよし
欧陽菲菲
岸洋子
テレサ・テン
谷村新司&アダモ
因幡晃
2004年1月21日NHK総合TV「NHK歌謡コンサート」の生放送での名演が評判を呼び、新聞でも取り上げられ再放送もされ、同じ年の11月にCDとして発売された。
前野曜子
<歌詞>
Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
Tombe la neige
Et mon cœur s’habille de noir
Ce soyeux cortège
Tout en larmes blanches
L’oiseau sur la branche
Pleure le sortilège
Tu ne viendras pas ce soir
Me crie mon désespoir
Mais tombe la neige
Impassible manège
Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
Tombe la neige
Tout est blanc de désespoir
Triste certitude
Le froid et l’absence
Cet odieux silence
Blanche solitude
Tu ne viendras pas ce soir
Me crie mon désespoir
Mais tombe la neige
Impassible manège
<日本語歌詞>
安井かずみ訳詞
雪は降る
あなたは来ない
雪は降る
重い心に
むなしい夢
白い涙
鳥はあそぶ
夜は更ける
あなたは来ない
いくら呼んでも
白い雪が
ただ降るばかり
ララララ ラララ ララララ ラララ
この悲しみ
このさびしさ
涙の夜
ひとりの夜
あなたは来ない
いくら呼んでも
白い雪が
ただ降るばかり
白い雪が
ただ降るばかり
ララララ ラララ ララララ ラララ ララララ ラララ
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