曲の誕生と成り立ち
この曲は数々のハリウッド映画の音楽を担当した作曲家アレックス・ノース(Alex North)と作詞家ハイ・ザレットによる1955年の作品である。
また別の説では映画に使われる20年前の1936年で、William Albert Stirratが好きな女性への気持ちを詩にしたものを、サマーキャンプで知り合った、Alex Northが曲をつけた。
同年に有名なアメリカン・フットボール選手のエルロイ’クラージーレックス’ハーシュ(Elroy’Crazylegs’Hirsch)が主演したワーナー・ブラザース映画「アンチェインド」(Unchained)で使われた。日本未公開作品である。
この映画は刑務所を舞台にしたドラマで、恋人を想い、自由(Unchained)になって家に帰りたいと願う内容の歌である。
この映画は低予算で作られたB級映画であったこともあり、次第に忘れられたのに対し、この主題歌は哀愁あるメロディと、恋人に逢いたいという切ない想いを過不足なく歌い上げた歌詞によって単独で人気を得ることになった。
曲名は映画(Unchained)のテーマという意味と、自由への願いのメロディという意味の二重の意味が含まれている。
映画公開の1955年には、オリジナル・サウンドトラックを歌ったアフリカ系アメリカ人のオペラ歌手トッド・ダンカン(Todd Duncan)のものはレコード化されなかったものの、
全米1位となったレス・バクスター・オーケストラ、
2位となったドロシー・コリンズ(Dorothy Collins)、
3位となったアル・ヒブラー(Al Hibbler)
など多くの歌手たちがレコードをリリースした。
その後もリッキー・ネルソン(Ricky Nelson)、サム・クック(Sam Cooke)、プラターズ(The Platters)など、今日まで数え切れないほどのアーティストたちがカバーしている。
その中でも一番有名なものは、1965年のライチャス・ブラザーズ(The Righteous Brothers)が哀愁を帯びて、ロマンチックにカバーしたヴァージョンで、1990年のパラマウント映画「ゴースト/ニューヨークの幻」(Ghost)に使われて、今では定番になっている。
その後500種類を超えるバージョンで録音され、20世紀で最も録音された曲の一つになったようである。
その辺りはここに詳しい。
この曲の誕生から大ヒットまでの歴史を簡略にまとめた非常に参考になる動画がこれThe origin and history of Unchained Melody
ライチャス・ブラザーズ(Righteous Brothers)
大多数の人と同じく、初めてこの曲を知ったのはライチャス・ブラザーズ(Righteous Brothers)のもので、実は65年に発表されたそれがずっとオリジナルだと思っていた。
それほど強烈にライチャス・ブラザーズのヴァージョンは印象に残った。
また演奏者はライチャス・ブラザーズ(Righteous Brothers)でクレジットされているが、実際はボビー・ハットフィールド(Bobby Hatfield)のソロである。
元々はParamoursというグループ名だったが、地方のバーで演奏を聞いていた黒人の海兵隊員が「That was righteous,brothers.」と叫んだのがきっかけで、最初のアルバムをリリースする時に改名した。
righteousは「心のまっすぐな」「正当な」というような意味だが、60年代は「かっこいい」という意味にも使われていた。
1963年にMoonglowという小さなレーベルからレコードデビューしたライチャス・ブラザーズは、ビルの豊かで魅力的なバスと、ボビーのゴスペル風な力強いテナーによるユニークなハーモニーで、白人ながら黒人のような声でR&Bを歌うことから、”blue-eyed soul”として注目された。
翌年のステージでロネッツと共演した際、大物プロデューサー、フィル・スペクターが彼らに魅了され、フィル自身のレーベル”フィルズ・レコード”に引き抜かれ、成功への道を歩み始める。
そしてリリースされたシングル「ふられた気持ち(You’ve Lost That Lovin’ Feelin’)」はいきなり全米・全英共に1位に輝き、ブレイクを果たす。
その勢いが冷めやらぬうちに発売されたのがこの「アンチェインド・メロディ」であった。
「ふられた気持ち」はビル・メドレーが最初のヴァースをずっと歌っているので、相棒のボビー・ハットフィールドは困惑してしまい、プロデューサーのフィル・スペクターに「俺は何をしていたらいいんだ?」とたずねたという話が残っている。これと全く逆の立場になったのが「アンチェインド・メロディ」だといえる。
その後1968年に解散し、1974年に再結成した。
2003年3月、ロックの殿堂入りを果たすが、ボブのほうはそのわずか8ヵ月後、2003年11月5日、睡眠中に63歳で亡くなった。
今やこの曲の定番となったライチャス・ブラザーズが最初に発表したのは1965年のことで、当時全米6位、全英14位の大ヒットとなった。
最初にリリースされた時は「Hung on You」というシングルのB面に収録された。
名義こそザ・ライチャス・ブラザーズとなっているものの、実際にはボビーのソロであり、身体を顫わせんばかりに、ありったけの思いの丈を込めて歌う彼の歌声に、当時多くの人が酔いしれたと思われる。
しかし何といっても1990年に大ヒットしてデミ・ムーア(Demi Moore)をトップ・スターにした映画『ゴースト/ニューヨークの幻(Ghost)』の主題歌として使われたことが大きく、再び注目を浴びることになり全英で4週連続1位、全米でもオリジナル・バージョンが13位、再録音バージョンが19位と大ヒットとなった。
Righteous Brothers
ライブ映像
55年のオリジナル
Todd Duncan
55年オリジナルサウンドトラックを歌ったがレコード化されなかった
映画公開の55年にリリースされチャートインした曲
Les Baxter Orchestra(レス・バクスター・オーケストラ)
同じく55年のカバーで全米1位に輝いた
Dorothy Collins(ドロシー・コリンズ)
これも55年のカバーで全米2位に輝いた
盲目のR&B歌手アル・ヒブラー(Al Hibbler)は全米3位を獲得。これも55年。
これも55年に全米6位の大ヒットとなったR&B歌手ロイ・ハミルトン(Roy Hamilton)のカバー
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その後も続々とカバーがリリースされた
LeAnn Rimes(リーアン・ライムス)
Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)
The Platters(プラターズ)
Tom Jones(トム・ジョーンズ)
Supremes(シュプリームス)
U2
映画「GHOST」
90年の映画「GHOST」で使われたライチャス・ブラザーズのバージョンは再び米国と英国でヒットし、上述のように2つのバージョンが同時にチャートインしていた。
この時のデミ・ムーアは何度見ても最高に美しい。音楽と映像が見事に融合して両方共に大ヒットした代表例だろう。
「オー・プリティ・ウーマン」との共通性
デミ・ムーアは「ゴースト/ニューヨークの幻」によって日本でも有名女優の仲間入りを果たしたが、同じ年の年末に封切られこちらも日本で大ヒットした映画「オー・プリティ・ウーマン」のジュリア・ロバーツと共に、当時の日本でとても人気があった。
またこの二つの映画では60年代のヒット曲を主題歌として使いリヴァイバル・ヒットさせたという共通点もある。ただし違うのはロイ・オービソンは映画がヒットした時にはもうこの世にはいなかったという点である。
<歌詞>
Oh, my love
My darling
I’ve hungered for your touch
A long, lonely time
And time goes by so slowly
And time can do so much
Are you still mine?
I need your love
I need your love
God speed your love to me
Lonely rivers flow to the sea, to the sea
To the open arms of the sea
Yes, lonely rivers sigh, “Wait for me, wait for me
I’ll be coming home, wait for me”
Oh, my love
My darling
I’ve hungered, hungered for your touch
A long, lonely time
And time goes by so slowly
And time can do so much
Are you still mine?
I need your love
I need your love
God speed your love to me
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