【歌詞に隠された深い意味】ワンダフル・ワールド|サム・クック

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はじめに

 この邦題ではいくつかの名曲があるが、ハーマンズ・ハーミッツのバージョンから入った曲を取り上げようと今回調査をしたら、自分の無知に恥じる結果となった。

 ハーマンズ・ハーミッツがオリジナルでなくても無名に近いアーティストが見つかる程度と踏んでいたらとんでもない意外な事実に愕然。

 サム・クック(Sam Cooke)がオリジナルで、そのカバーバージョンにもオーティス・レディングやアート・ガーファンクルといったビッグ・ネームが並んでいる。

 Wikipediaに書かれたカバー・アーティストにはハーマンズ・ハーミッツは無視されていた。確かにビッグ・ネームと並べて書くにはちょっと躊躇するのはわかる。

 日本ではウルフルズのカバーが目立つくらいで、カバー曲の数は多くないと思われる。

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オリジナルはサム・クック(Sam Cooke)だった

 この曲を書いたのはサム・クック&ハーブ・アルバート&ルー・アドラーで、サム・クック(Sam Cooke)が歌うオリジナルは60年に全米17位のヒットとなった。

 原題は「(What A)Wonderful World」邦題は「ワンダフル・ワールド」

サム・クック(Sam Cooke)のプロフィール

 ミシシッピ州クラークスデイル生まれ。後に家族とともにシカゴに移住。父親は牧師であり、幼い頃から聖歌隊で歌う。

 19歳のときにゴスペル・グループのソウル・スターラーズのリードボーカルとなり、端正なルックスでゴスペル界ではアイドル的人気を博した。

 1957年にソロ歌手としてR&Bに転向し、「ユー・センド・ミー」がヒット。これをきっかけにR&B界で数々のヒットを飛ばし、発展目覚ましかったソウル/R&B界のスターとなる。

 それまでの黒人歌手のスタイルとは一線を画した洗練された音楽性で、声の良さと歌唱力もさることながら、「クック調」と呼ばれる鼻にかかった歌い方は白人にも高く評価され、後世に大きな影響を与えた。

 1958年には、マネージャーのJ.W.アレクサンダーと共に音楽出版社を設立。後にはSARレコードを設立する。

 R&Bが流行した当時、黒人のアーティストは曲を作っても満足な対価を得られず、白人の会社に「搾取」されるのが通例だった中にあって、自らの著作権を管理するのは画期的なことであった。

 クックの曲は、『ビルボード』のR&Bチャートだけでなくポップ・チャートでも上位に入った。


 1960年代には「チェイン・ギャング」(2位)


 「ツイストで踊りあかそう」(9位)

 「こんどの土曜に恋人を」(10位)


 「シェイク」(7位)

 を全米トップ10に送り込んでいる。

歌詞の意味 「ワンダフル・ワールド」(Wonderful World)

 1960年のヒット曲。アート・ガーファンクル、ジェームズ・テイラー、ブライアン・フェリーや日本のウルフルズなどもカバーしている。

 歌の内容は、学生の恋の歌だが、決して劣等生の歌ではない。「歴史のことなんかそんなに良く知っていない」(Don’t know much about history)のは、少し謙遜している言葉である。

 アメリカでは、公民権法制定前までは、優秀な有色人種は敬遠される風土があった。白人にとっては、言葉どおりの恋の歌も、当時の有色人種の人たちの一歩遠慮した意識が感じられる。

 しかし「有色人種だって、歴史も、生物学も、科学も、フランス語も、地理も、三角法も、代数学も学ばなくちゃ素敵な世界にならないよ。」というメッセージも込められている。

 また、この歌詞の「You」が白人に向けた言葉だとすれば、人種間の理解を求めたメッセージが読み取れるシンプルなようでいて、深い意味もある、サム・クックの才気がよく分る歌だ。

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Sam Cookeの歌声

Official Lyric Video

歌詞付き

錚々たる大物がカバーしている。

Otis Redding(65年のアルバム)

Art Garfunkel

夢の共演盤実現経緯

 1978年2月11日全米TOP40に33位に、以後29-24-20-18-17-17位。最高位17位。日本では同年4月30日TOP20に20位で登場、以後17-*-20位。

 アルバム制作途中、その地味な内容からCBSがヒットするような曲を入れるように依頼してきた。そこで計画されたのがこの曲。製作はフィル・ラモーン。

 なんと、コーラスにポール・サイモンジェイムス・テイラーが参加している。
(かつそれぞれリードも取っている)

参加ミュージシャンも豪華で、
ドラムがスティーブ・ガッド、ベースがトニー・レヴィン、
パーカッションがラルフ・マクドナルド、
ギターがヒュー・マクラッケン、
キーボードがリチャード・ティー、
そしてなんと、ストリングアレンジが
フリー・デザインのクリス・デドリック(!)
というメンツ。

Art Garfunkel/James Taylor/Paul Simon

その他のカバー

Johnny Nash

Jerry Yan & Ella Chen

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Jerry Garcia Band

この曲の入り口だったハーマンズ・ハーミッツ


Herman’s Hermits(ハーマンズ・ハーミッツ)

66年スタジオライブ

日本のカバーでめぼしいのはこれくらい

ウルフルズ

<歌詞>

Don’t know much about history
Don’t know much biology
Don’t know much about a science book
Don’t know much about the French I took

But I do know that I love you
And I know that if you love me, too
What a wonderful world this would be

Don’t know much about geography
Don’t know much trigonometry
Don’t know much about algebra
Don’t know what a slide rule is for

But I do know one and one is two
And if this one could be with you
What a wonderful world this would be

Now, I don’t claim to be an A student
But I’m trying to be
For maybe by being an A student, baby
I can win your love for me

Don’t know much about history
Don’t know much biology
Don’t know much about a science book
Don’t know much about the French I took

But I do know that I love you
And I know that if you love me, too
What a wonderful world this would be

La ta ta ta ta ta ta (History)
Hmm-mm-mm (Biology)
La ta ta ta ta ta ta (Science book)
Hmm-mm-mm (French I took)

Yeah, but I do know that I love you
And I know that if you love me, too
What a wonderful world this would be

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